新型コロナウイルス感染症治療を目指したペプチド型プロテアーゼ阻害剤の創製

 当研究室では、2002年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生以来、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)の主要酵素である3CLプロテアーゼに対するペプチド型阻害剤の開発を行ってきました。3CLプロテアーゼはSARS-CoVが複製するポリプロテイン(pp1a, pp1ab)の複数箇所を切断することで、多くのウイルスタンパク質の成熟に関与します(図1)。そのため、3CLプロテアーゼの機能を阻害することで、ウイルスの増殖を効果的に抑制することが可能です。

Life cycle of corona.jpg

図1

我々はシステインプロテアーゼに分類される本酵素の阻害剤合成を行い、強力な阻害活性を有するペプチドミメティック型阻害剤を創製してきました(図2)。これらの化合物は、3CLプロテアーゼの活性中心にあるシステインと可逆的な共有結合を形成し、効率的に酵素機能を阻害します。

 2019年に発生した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とSARS-CoVの3CLプロテアーゼは、99%の相同性があることから、現在SARS-CoV-2に対するこれらの化合物の有効性を検討中です。

3CL-Pro inhibitor.jpg

図2